日本では耳慣れないかもしれませんが、BIYという言葉を聞いたことがあるでしょうか?
日曜大工などを指し示すDIY(Do It Yourself)と近い言葉なのですが、BIYとはBrew It Yourselfの略、つまりは自家醸造を意味します。自家醸造を英語で言うなら、Home brewの方が一般的ですが、まぁこういう言い方もあるということです。
またbrew自体は醸造を意味する単語なので、ビール以外の製造も指しますが、BIYといえばだいたいビールです。次にワインでしょうか。
BIYという言葉を日本で耳慣れない理由は、日本では無免許での醸造は違法だからなのですが、酒造が合法な欧米ではわりとポピュラーな趣味の一つです。
そしてBIYとクラフトビールは切っても切れない関係にあります。
アメリカでは、ビール製造が大規模工場による生産によって工業製品化したことに対する反動で、「工業化以前のビール」である、マイクロブルワリー(小規模生産)のクラフトビールが注目された、という流れもあります。
工業化以前、すなわち「手作りのビール」ということにおいては、BIYは間違いなくその最たるものでしょう。
なにせ、マイクロブルワリーと言っても、醸造を業務として行うならその仕込み量はキロリットル単位になることかと思いますが、普通の家で仕込めるのなんてせいぜい数十リットルぐらいですからね。
ちなみに日本で酒とはアルコール度数1%以上の液体を言うので、1%未満になるように作るのであれば醸造自体は合法です。
そういう理由でノンアルコールビールを作るキットや、アルコール度数が1%未満になるようにレシピを調整した、海外製のビール醸造キットが日本でも手に入ります。
目で見て買うなら東急ハンズなどですが、通販ならAmazonでも売ってます。ビールがどうやって出来るのか、もっと深く理解したいという人には実学の意味でもお勧めです。
海外向けのレシピのままで作ることは前述のとおり日本では免許を持っていない限りは違法ですので、くれぐれもその点は注意してください。
とは言うものの、他人に提供でもしないかぎりはどうのこうの言われることはないと思います。
また、安くで遊ぶなら全部入りのキットではなく、モルト缶だけ買って適当なポリタンクなどでやってみるというのも手です。
日本でも自家醸造が合法になれば、そこそこ大きな趣味としてのマーケットが開けると思いますし、酒造業界にもいい影響が出るんじゃないかなと思います。
理屈だった根拠はないのですが、現在の酒造業界は化学的産業です。しかしまた、お酒は文化でもあります。
芸術などの文化においては裾野としてのアマチュア層、アマチュアリズムがより高いプロのレベルを構築していくという話もありますので、実は自家醸造が解禁されたら、それは最終的にたくさんの美味しいビールが出て来ることにつながるんじゃないかな、出てきてほしいな。
なーんて思ったのでした。
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