分散投資に必須のポートフォリオ理論をすこし真面目に解説

投資

別に投資ブログにする気はサラサラありませんが、投資ネタを連投です。
正確に言えば投資ネタではなく、金融工学・ファイナンスの話ですが。
今回は投資信託などを始めとした、分散投資の基盤であるポートフォリオ理論について真面目に説明します

ポートフォリオとは

ここでは「複数個の投資物件をまとめたもの」という意味で扱います。
投資を行おうという人なら「卵を一つのかごに盛るな」という格言を一度ぐらいは聞いたことがあるでしょう。
一応説明すると、これは資金を一つの投資商品に集中投下すると、値下がりしてしまったときに一気に資産が目減りするということを意味しています。
なので、いくつかの商品に分散することでリスクとリターンのバランスをとろう、という格言です。

ちなみに世界的に有名な投資家ウォーレンバフェットは、「最高の投資先を見つけたらそこに集中投資しないとだめだ」と言い、「卵を一つのかごに盛って注意深く見守れ」と言っています。これも一つの考え方ですね。

分散投資とは

ポートフォリオの説明の繰り返しになりますが、分散投資とはその通り、複数個の投資対象に分散して投資を行うことを言います。
こうすることで、プラスのものとマイナスのものを組み合わせ、リスクとリターンを均すわけです。
荒い変動を緩やかな変動に平均化することで、不確実な投資というものの確実性を高めます。

インデックス投資はもうかるのか?

インデックス投資とは分散投資の一種で、特定の市場・指標に対して投資を行うものです。まぁ例えば東証の株を色々とまとめて買えば、その総体の額面は日経平均やTOPIXにほぼ連動して動きます。
これが日経平均やTOPIXに投資するということで、もっと言えば日本株式市場にインデックス投資しているということと同義です。

そんなインデックス投資ですが、儲かるのでしょうか。
すこし話は変わりますが、長期的に見れば理屈の上では現代の通貨は信用通貨(不換通貨)です。そして金利という概念が世の中に存在する限り、世の中に存在する通貨量は増加する一方、つまりインフレに動きます。
だぶついた通貨の多くはその大半が資産家の元に集約されます。そしてその集約された通貨は、何らかの形で再投資されることになるので、株式市場を含めた投資市場全体に流入する通貨の総量は通常増加の一途をたどる筈です。

そうするとどうなるかというと、実体経済よりも株式市場などの経済のほうに流入する貨幣量の額が大きくなるので、その差分は儲かる、と私は考えます。
勿論これは常に成立するわけではありません。短期的にも長期的にもこのシナリオが破綻するストーリーは思いつきますが、これは別に説明しなくてもいいでしょう。

最良のポートフォリオ

最良のポートフォリオとは、完全に値動きが反対になるペアの金融商品を組み合わせることです。Aが100円上げれば、Bは100円下げるという動きを常にするということで、数学的に言えば2者の値動きの相関係数が-1の状態が理想です。
これだと価格が常に一定になるので取引価格を安定させたい時に最高の効果を得ることができます。もともと先物取引やオプション取引というものは相場の乱高下を安定させるために考案されました。
とは言え本当に価格が一定になってしまうと、先のインデックス投資の観点から言えば市場全体の成長率も回収できなくなってしまうので、そこは大前提として市場全体が伸びた場合は個々の銘柄も追随してくれる必要があります。

ポートフォリオ理論とは

では具体的にポートフォリオを組んだ時の値動きがどの程度安定するのかと、インデックス投資を行う際に具体的にどれ位の銘柄に分散させれば良いのかを考えてみましょう。
東証1部上場銘柄からランダムにピックアップした銘柄に分散投資した際の、銘柄数と指標への収束の仕方のグラフが以下の本に出ていましたので引用します。


よくわかるファイナンス

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(出所)久保田敬一『ポートフォリオ理論』日本経済評論社, 1989年より

大体5銘柄程度で急速に収束しているのが見て取れます。連動性を見れば8銘柄程度は欲しい感じでしょうか。
ただランダムに選んだ銘柄でこの程度になるので、ある程度慎重に銘柄を選定・リバランスすれば5銘柄程度でも十分な連動性になりそうです。
慎重に銘柄を選ぶとは

  • 財務リスク(破綻リスク)が小さく
  • 特定の銘柄の寄与率が高くないようにし(特別に単価の低い・高い株を組み入れない)
  • 相互の値動きの相関値がなるべく小さくなるようにする

ということです。あとは流動性も多少は考慮したほうがリバランスする際に有利でしょうか。
特に整理対象となっているような低位株は平均値からは大きく乖離しているので除したほうが効率よくポートフォリオを組めるでしょう。

また日本株式市場の場合、ターゲットにする数値は日経平均よりもTOPIXのほうが好ましいです。この理由は簡単ですがちょっと長いので後日書きます。

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